政府は構造改革を進めることで、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)が2012年度にはプラスに転じるとしている。しかし、上記の試算を元にすると、生ぬるい財政改革でとても追いつく金額とはいえないことが明白だ。先ほどの試算ではじき出された削減の比率、歳出の3割を削るほどの改革が果たして可能なのか。
冒頭、財務省が広く国の窮状を国民に訴えていることに触れたが、その理由は、やはりこのまま行けば、消費税の負担や社会保障費の自己負担が避けられないからに他ならない。国の財政を立て直すために、個人の家計が圧迫される方向に向かっているからである。来年以降、五月雨式に減税幅が減らされたり、国民年金の保険料が引き上げられたりする予定だ。
一方で、国は「個人向け国債」を大量に売り出し、「安全な資産」だとしてアピールしている。自ら財政危機をキャンペーンで訴え、「借金で火の車だ」と言いつつ、もう一方で「赤字でつぶれそうなところにお金を貸しなさい」、「日本国債をもっと買ってください」というのは、大いなる矛盾である。 この夏の個人向け国債のポスターのキャッチフレーズは皮肉にも「10年先まで楽しみたい」。だが、とても日本の10年後に楽しい未来を描けそうもないことは、数字が物語っている。
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