日本の公的部門が抱えるGDPの2倍もの債務。国際的に健全だといわれている基準は、GDPのおよそ60%。これはヨーロッパの国がユーロに加盟する条件になっている基準だ。日本の状況、GDPの2倍という数字がいかにひどいものかがわかる。今の日本の状況では、ヨーロッパ圏内であればユーロにも入れてもらえない、落ちこぼれだということだ。図4を見ると日本のここ数年の債務の増え方がいかにひどいか一目瞭然だ。このグラフによると、日本の債務残高の対GDP比は、161%。小泉政権が発足した2001年との比較で、18.8ポイントも増えたことになる。
また、「政府債務」がいかに世界の中で最悪の水準に近いかを示す数字がある。世界経済フォーラムが発表した「2005年世界競争力報告」で、日本は「政府債務」の部門で117カ国、地域のうち、なんと114位と不名誉な順位に上げられた。報告は「世界最悪の諸国に含まれ、財政的節度が欠如している」と指摘している。
【図4】債務残高の国際比較
かつて(そう遠くない過去であるが)塩川財務大臣(当時)は、日本国債が海外の格付け会社によって格下げされた際に、「日本は世界最大の経常黒字を誇っており、国債の95%を日本人が保有しているため、信用度はもっと高い」と猛然と反論していた。
そこで、日本の経常黒字がいくらあるかご存知だろうか。
日本と海外との貿易、旅行などのサービスの取引状況を示す経常黒字は2005年3月末で約18兆円超。日本の借金1059兆円はその約58倍にのぼっている。さらに、日本経済を下支えしてきた貿易黒字にもこのところ先行きに陰りが見えてきている。直近の2005年9月の貿易黒字額は前の年の同じ月に比べて21%も減少し、この6ヶ月連続で減少を続けている。理由は原油価格の上昇。さらに円安も留まるところを知らない。この分ではとても、借金の担保にはなりそうもない。
では、日本が借金を返すことができるのか、日本国が持っている資産と比較してみよう。日本が持っている資産は一体どれくらいあるものなのか。それを表す経済指標に「国富」がある。国内の土地、建物、金融資産、在庫、地下資源などをすべて換算した「正味資産」がいわゆる「国富」。企業や政府などの公的部門なども含めて国民全体が所有している資産から負債を差し引いたものだ。国を企業に例えれば「自己資本」に相当する。みずほ証券の試算によれば、2005年度末の資産から負債を差し引いた正味資産は、2710兆円。日本の借金は国内の資産すべてと比較してみても、その40%にのぼってしまう。ただし、この資産の中には、借金の返済に充てられるはずもない、政府の建物や構造物も含まれるため、実際に換金できる資産となると大幅に目減りすることは間違いない。
【図5】1059兆円の借金
次に、塩川財務大臣(当時)発言の2番目、「国債保有者が日本人だから大丈夫だ」という説についてはどうだろうか。日本国債を保有しているのは、国内の金融機関や個人などで、海外からの借金ではないところに、アメリカなど他の国と事情が異なっているのは事実だ。ただし、このまま財政赤字が続けば、日本が国内で政府の借金を賄いきれなくなることは目に見えている。それが証拠に、政府の借金に対する安心材料として引き合いに出される、国民個人の金融資産も正味で見てみると、実は頼りにならないということがわかったからだ。
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