八ツ場ダム視察リポート | 再生日本21


八ツ場ダム視察リポート

再生日本21では、9月22日(火)、民主党新政権が中止を表明している、群馬県長野原町の八ッ場ダムを視察しました。明日、前原国土交通大臣が現地入りする前に、この目で見ておきたかったからです。以下、本日のレポートです。 (再生日本21)
八ッ場ダム

1.そこは名勝だった。

ダム建設地は、ヤマトタケル伝説が残る「吾妻峡」という国指定の名勝でした。ヤマトタケルの身代わりとなって海に身を投げたオトタチバナヒメを思い「吾妻はや」と3回嘆き、涙したと伝えられています。私は浦島伝説の伝わる木曽川の寝覚めの床を思い出しました。もし、木曽の寝覚めの床に巨大ダムが建設されることとなったらという思いがよぎりました。

2.完璧なダムサイト

ダム建設地は、名勝ですが、ダムサイトとしては、完璧というしかありません。アーチ式のダムでも大丈夫ではないかと思うほど堅い岩盤で、ダム本体工事には、さほどお金はかからないと言われています。もっと大きなダムも見たことがあるので「なんだこんなものか」というのが素直な感想です。

3.治水効果抜群

榛名湖の約2倍の人口湖ができ、毎秒2,400トンの洪水調整をします。(洪水時、ダムが無いと、毎秒3,900トン下流に流れてしまうが、毎秒2,400トンをダムに溜め込み、下流へ毎秒1,500トンしか流さない。)パンフレットを見る限り、利根川水系でこれだけの洪水調整能力のあるダムはありません。群を抜いています。抜群の治水効果があるといえます。

4.なんじゃこりゃー

このダムの特徴は、ダム本体工事というよりも、付替工事や補償工事といったダムに付帯する工事の巨大さではないでしょうか?ダム以外の道路や鉄道、川原湯温泉や住居等々の付替、移転の工事の巨大さにビックリしました。山中に突然現れた巨大構造物を前にして、「なんじゃこりゃー」が率直な感想です。私はその巨大さに違和感をおぼえました。治水目的の県営ダムとも規模がちがう。

5.わかってほしい

「わかってほしい」これがやんば館の案内係の人の言葉です。故郷がダム湖に沈む苦しさ。下流住民の安全を考え、反対から賛成へと住民合意し、ここまで来たこと。政争の具にされ、突然建設中止されそうなこと。訪れる観光客に熱心にダムの必要性を訴えていた八ツ場ダム工事現場姿が印象的でした。ダムはムダとお考えのお客様にも、丁寧に説明をされていました。川原湯温泉で働く女性にダムの話を聞いて見ましたが、あまり話をしたくない様子でした。
「わかってほしい。」心の叫びが聞こえてきました。

6.そもそも

そもそもヤマトタケル伝説の残る山中の静かな町に、これだけの巨大プロジェクトを持ち込むことに無理があったのではないでしょうか?非常にバブリーです。計画当初はこのような、経済状況になるとは予想だにしなかったことでしょう。

7.行政の継続性はどこへ

今後も、政権交代が予想される中で、行政の継続性はどこへ行ってしまうのでしょうか?
公共事業においては、地元住民に与える影響が大きいので、何らかのルール作りが必要ではないでしょうか?政権に翻弄される住民の生活や心情をもっと慮るべきと考えます。

8.行くも地獄、戻るも地獄

さて、民主党は何故中止を選挙公約にしたのでしょうか?税の無駄遣いが理由であれば、その根拠を示すべきです。道路、鉄道の付替工事の進捗状況、関係都道府県への利水負担金の返還、新たに生じるであろう地元対策費等々を考えると、直感的には中止の方が費用はかかるような気がします。また、ダムに変わる治水対策はあるのでしょうか?
代替案が無いのに中止するのは無責任ではないでしょうか?下流住民の生命をどのように考えるのでしょうか?説明責任を果していないとしか言いようがありません。子供手当てを始めとする社会福祉の財源確保のためというのでは、地元住民の納得は得られないと思います。
民主党にとって、まさに、「行くも地獄、戻るも地獄」ではないでしょうか?

9.何を国是とするのか

私の答えは、着工前なら中止だったが、現時点では事業継続というご都合主義的な答えを出すことしかできませんでした。しかし、出発点をどこにするかで答えが幾とおりも出てきてしまうことに気づきました。自然が大切を出発点にすれば、今すぐ中止。住民感情を考えれば、継続。治水(人の生命と財産)を考えれば、継続。財政を考えればこれ以上金をかけたくないと言う理由で中止となるでしょう。日本良い国構想ではないですが、何
を国是とするかで進むべき方向がまったく違う方向へ行ってしまうことに気づきました。

10.明日の行方

前原大臣は、明日どのようなことになるのでしょうか?結果を見守りたいと思いますが、対応を間違えると、政権に多大なダメージを与えてしまうような気がします。八ッ場ダムに関心を持ち多くの方々が現地を訪れていました。多くの方々はダムを継続したほうが良いという受け止めでした。今後も、この問題を見守って行きたいと思います。